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執筆者の写真kibedancer

椅子の話

更新日:2018年1月20日

1978年5月20日、成田空港開港の日、日本女子大学で行われた寺山修司氏の朗読会に参加しました。寺山氏の朗読は印象的でしたが、朗読に合わせ、全裸体でひたすら椅子に絡む舞踏家の踊りに、強い印象を受けました。詩、朗読、裸、椅子、ダンス。そこには言葉以上の言葉があり、ダンス以上のダンスがありました。


その舞踏家が誰であったのか、もうわかりません。ずっと岩名雅記氏であったと思いこんでおり、岩名氏にも問い合わせましたが、自分ではないとのお返事をいただきました(その過程で、岩名氏のことを、共感を持って考え続けることができました)。椅子のダンスを踊りたい、そう思い続けてきました。花道家・上野雄次氏との一週間にわたったコラボレーション「花魂 HANADAMA」で、初めて椅子との共演に挑みました。和光大学の“裏”学園祭で「椅子の踊り」を踊り、メドゥサ1の薄井史織さん作曲「Inhaling / Exhaling」で椅子を使った即興ダンスを踊り、「縛られたプロメテウス」などプロメテウス・シリーズでは常に大量の椅子を使ってきました。

椅子は、キベダンサーにとって何? 人ではありませんが人のようであり、沈黙したままの椅子という彼・彼女は手に負えない厄介者ですが、生身の共演者もそれは同じでしょう。椅子の表情を引き出せるだけのダンスを踊りたい。あの日の日本女子大学以来、ずっとそう思っています。

写真は、岡崎正人さん撮影。岡崎さんのスタジオにおけるセッションにて。

(2018.1.21記 続く)


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