キベダンサーの必携書
何度繰り返して読んでも、その度に新しい発見があります。
原田広美さんの「国際コンテンポラリー・ダンス」(現代書館・2016)は、キベダンサーの教科書であり、発想の源です。
こんな風にしていいのか、こんな風にできるのか、あれとこれはこうつながっていたのか、など、実にさまざまなことを教え、考えさせてくれます。
*アラン・ビュフォール(1)〜「HIV感染」による休業からの回復(p207)
「モンペリエ・ダンス07」では、「HIV感染」および「エイズ」の、「ダンス」に対する影響を扱うシンポジウムを持った。……
また「ダンス」は、「身体」を素材とするために「感染・発病」と直接的に密接であった。そのため、以前から同様な視点がなかった訳ではないが、たとえば「裸体」は必ずしもエロティックではなく、「身体」の「存在感や感受性」に迫る表現でもあること、「コンテンポラリー・ダンス」が健常で健康で活発な「身体」だけを強調するべき表現ではないことなどを再認識させたのではないか。
著者には書き足りないこともあったでしょうし、論文の常として見解の相違もあるでしょう。しかし、そんなことは問題になりません。不足や相違は、読み手が自分で補えばいいのです。著者は、そうしたことを考えさせただけで、十分に役割を果たしています。
スーパーアーチは踊る場であり、考える場ではありませんが、一回一回、「国際コンテンポラリー・ダンス」から何らかのテーマを拾い出し、それを踊ることができないか、とも考えています。
(2018.1.20記 続く)
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