青木の「わだつみのいろこの宮」と、モローの「出現」が24時間、私を鼓舞してくれます
寝ても覚めても、私の目は、壁に貼られた、これら2枚の絵をとらえます。
「わだつみのいろこの宮」に描かれた、樹上の山幸彦、彼に驚く左の豊玉姫と、その侍女。
「出現」のサロメは、宙に浮かぶヨハネの首を射るような目で睨みつけています。
絵が一枚で表わす衝撃を、ダンスは時間をかけて表現したいと思います。
ただ一枚の衝撃を超えることの難しさ。
しかし、それをしようと思うことの楽しさ。
生血を滴らせて宙に浮くヨハネの首。放つ光に遮られ、ヘロデ王の姿は見えない。サロメは分厚く色とりどりの布を裸体にかけて踊る。ヨハネの血にまみれた宮殿。サロメの足元には牙を剝く黒豹。生と死が淀みながら混在する。
兄の釣り針を失くした山幸彦は桂の樹上にいた。そこに現れる海神の娘、豊玉姫と侍女。山幸彦は健康な裸体。二人の女性も、薄衣を通して裸が見える。山幸彦の背に光が立つ。姫の足元から気泡が上る。ここは深い海底だ。
モロー、1826年生まれ、1898年死去。
青木繁、1882年生まれ、1911年死去。
彼らが描く人の形を、キベダンサーは、理屈なしにありのまま、踊りたいと思うのです。
(2018年1月20日記・続く)
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