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執筆者の写真kibedancer

青木繁とギュスターヴ・モロー

更新日:2018年1月20日

青木の「わだつみのいろこの宮」と、モローの「出現」が24時間、私を鼓舞してくれます



寝ても覚めても、私の目は、壁に貼られた、これら2枚の絵をとらえます。

「わだつみのいろこの宮」に描かれた、樹上の山幸彦、彼に驚く左の豊玉姫と、その侍女。

「出現」のサロメは、宙に浮かぶヨハネの首を射るような目で睨みつけています。

絵が一枚で表わす衝撃を、ダンスは時間をかけて表現したいと思います。

ただ一枚の衝撃を超えることの難しさ。

しかし、それをしようと思うことの楽しさ。

生血を滴らせて宙に浮くヨハネの首。放つ光に遮られ、ヘロデ王の姿は見えない。サロメは分厚く色とりどりの布を裸体にかけて踊る。ヨハネの血にまみれた宮殿。サロメの足元には牙を剝く黒豹。生と死が淀みながら混在する。
兄の釣り針を失くした山幸彦は桂の樹上にいた。そこに現れる海神の娘、豊玉姫と侍女。山幸彦は健康な裸体。二人の女性も、薄衣を通して裸が見える。山幸彦の背に光が立つ。姫の足元から気泡が上る。ここは深い海底だ。

モロー、1826年生まれ、1898年死去。

青木繁、1882年生まれ、1911年死去。

彼らが描く人の形を、キベダンサーは、理屈なしにありのまま、踊りたいと思うのです。

(2018年1月20日記・続く)

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